投稿:マタドールで、ヤマドリ・ハンティング その2

from: N熊 2018年04月07日 23時57分 受付中 コメントする
朝早い時には、3時に出発。
仕事上がりも遅かったので、睡眠時間も4時間程度。
待ち合わせ場所に、5時集合。
そこから深山に向けて走り、暗い中を移動しながら夜明けを待ちます。

あたりは息も凍る、氷点下4℃。
日は登っても、標高もあがってくるので、気温はほぼ変わらずで。
ややもすると、あたりは銀世界になってきました。

誰も走った痕跡すらない新雪の上に、わだちをつくりながら車を進めます。
雪の深さを確かめ、雪の中に落石が隠れていないか。。ドキドキしながらの前進でした。

ところどころに、けものたちの足跡が残っていて。。
ウサギやタヌキ、ヤマドリやシカの動きが把握できます。
雪の深さに、音はすべて吸い込まれ。。
山全体が独特の、シーン。。と静まり返った雰囲気。
なんだか、神聖な場所に足を踏み入れたような気分になります。

雪になると、シカの警戒心も薄くなりまして。
朝一番に出くわしたメスシカは、サボットスラグの矢に倒れました。
獲れた獲物を荷台に積み込み。。さらなる獲物を求めて出発。


ヤマドリとの出会いは、いつも突然ですが。
この時もまさに、そんな瞬間でした。

いつものように。。雪の中をエンジン音を響かせながら駆け上がっていたのですが。
視界の右上の斜面に、ヤマドリ発見!
それもなんと。。。夫婦でスヤスヤ眠ってるではないですか!
距離は30mくらいでしょうか。

それまで、眠っているヤマドリなんて見たことなかったのですが。
(カムフラ色で、基本的に動きのないヤマドリは、発見が超絶困難なので。)
まるでカモのように、首を丸めて寝ていたのです。

即座にマタドールをコッキングして構え。
構えた瞬間に、3倍に合わせていたMBレチクルの中央に。。
ヤマドリのオスを収めまして。
おさまった瞬間にトリガーを引きました。

ぽこん!と。。肉体を貫くこもった音が聞こえてきまして。
その瞬間に、その尾長なトリは、ピョコン!と条件反射的に跳ねまして。

翼をピクリとも広げることなく。
テーン、テン、テン、トンテンコロリン。。。そんな感じで。
急斜面を止まることなく、転げ落ちてきました。


それまで何度も出会いながらも。
矢をかけることすらできなくて。
たまにしか訪れない、矢をかけるチャンスですら
走り去るヤマドリ。。飛び去るヤマドリに翻弄され続けてきました。
切り株の上でポツンと座っているヤマドリを、銃口に被さった銃カバーで弾道変化させてしまい。。
撃ち損じて、ジダンダ踏んだことも。。

そんなこんなで、はるばる深山に出向いてまで得たチャンスも。
ことごとく失うことばかりだったので、この狙撃成功には「 感無量!! 」
この一言に尽きます。
このヤマドリは、この猟期で最高にうれしい獲物となりました。
なかなか手に入らないだけに喜びもヒトシオでした。


この価値は、その難しさを知る人にしかわからない領域かもしれません。
この一羽の為に、出猟チャンスの半分( 約12日間を終日 )を費やしましたし。。
来年また同じように出猟しても、2度と手に入らないかもしれません。
執念のタマモノとも言えます。


獲れた感動にひたりながらも、獲れた理由を分析しておりました。
まず。。我々の索敵能力というか、ヤマドリ発見能力。これが大前提でした。
ですが、銀世界という白い背景のおかげで、さらに発見しやすくなりました。

そして、あの敏感ですばしこいヤマドリが、我々の接近に気付かなかった理由。
それは、あの雪深いコンディションのおかげだったと思います。
荒れた急坂を駆け上るクルマのエンジン音はそれなりのはずだったとおもいますが。
深雪が、その音を吸い込み。。。環境の異変に気付きにくかったのでは?と。

あとは、マタドールのコンディション、そして私のコンティションです。
マタドールは前日にサイト合わせをしっかり済ませて、不具合の無いようチェック済みでした。
そして、いつでも撃てるように、スコープの倍率は最低倍率。
以前の失敗を踏まえて、撃つときは銃カバーなしの裸のまま。
私自身のサイト合わせの速度も、リラックス状態から構える練習を重ねてました。
30m先のピンポン玉大の標的に、どれだけ速くレチクル中央を合わせられて
どれだけ速くトリガーを引けるか。
でした。

これは私の狩猟キャリアの中で、かなり大きな経験となりました。
そして先日、ヤマドリを調理して食べてみました。
それもまた改めて、レポートさせていただきます。
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カテゴリ:ハンティング

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from: マルコ  2018年04月08日 01時26分
N熊さん、早速の投稿ありがとうございます。
いつ読ませていただいても、臨場感にあふれて素晴らしいです。

雪が降って無音の世界ってありますよね。雪の降る音さえ聞こえそうなときは、確かに神聖さというか、
神聖さに秘めたなにかを感じる気がします。ハンターだけではないですが、そういう環境で自然と接する
者だけが感じられる感覚だと思います。

夫婦でスヤスヤ眠ってるところの狙撃というのは、ハンティングをされていない方には抵抗感が強く、
一般的には炎上する記載だと思います。

人間は道具の発達で優位になった思われがちな一方で、視力、聴力、臭覚に加え、気配を感じたり、
自然の危険を感じるという、本来自然で生き抜いていくための多くの能力を失ったと思います。

ハンティングを通して、必ず野生動物の方が私よりも先に察知するということをいやという程思い
知らされ、私のレベルでは実はほぼ感じることができていないということを私自身は理解しています。

雪の中に熊の足跡を見つけた時も、その足跡を踏んだことでしか分からない自分であることがわかります。
冬に冬眠していない熊が自分がだんだん近づくのを待ち構えているのか、はたまただんだん自分との
距離を詰めているのかもしれないと思うと、なかなか怖いものです。自分は狩る立場であるという
おごりの感覚はおおよそ消え、自分は狩られるという立場でもあるということを改めて感じさせられます。

動物だけではないですよね。いろんな自然条件であったり、天気であったり。自分が狩られるときは
問答無用に思います。

相手が油断しているところというのは、そういう感覚を少しでも取り戻した者で、努力をする者に対して、
自然が見せる一瞬のスキだと思います。美しいくもありなんとも言えない目に焼き付く光景だと思いますが、
それは狩る・狩られるという一連の感覚の中での、たった一つの場面を切り出したものだと思います。

本来はとてもそれだけを切り出して話ができないということは、N熊さんが書かれている通りと思います。

なぜ狩りをするのかというのは議論の尽きないテーマですが、ここはひとつN熊さんのレポートに戻って、
ありのままの体験の共有、ありがとうございます。

射撃のテクニックについてもいろいろ話したいことは尽きないのですが、また次回に!

役に立ちましたか?: はい
from: N熊 (投稿者) 2018年04月08日 09時56分
そうなんです。。
油断していたら、自分が自然に狩られる状況でもありまして。
道具で有利な立場にいるものの、山ではそれぞれが命がけでございまして。
駆け引きの緊張感があります。

狩猟行為に対する感覚は人それぞれで、価値観のなすりつけあいになるだけというのが、私の経験上の結論です。
議論しても平行線でしょうし、理解してもらおうと努力するだけ、時間と労力の無駄なような気がします。
私自身、親兄弟でさえそのへんの議論はしないことにしてます。
私の情報提供が、興味のある人、理解できる人、共感できる人達の今後の活動の支えになれば。。
それで充分だと思ってます。

せっかく情熱をもって、楽しんでいる趣味。
多くの人に共感してもらえたり、理解してもらえたら。。それこそ本望なのですが。
残念ながら。。この趣味の宿命ともいえるジレンマがありますよね。

でも、それでもやりたい!。。そう思っている自分に素直でありたい!
私はそう思うからこそ、狩猟にも前向きに取り組んでおります。



レポートを、読みやすくシンプルにまとめることに夢中で、表現し忘れていたのですが。。

遠距離から狙えるカワウやカモと違い、ヤマドリは接近戦でありスピードが要求されるステージです。
じっくり狙いこんでいる時間はなく、発見してから視界の中にいる時間が極端に短いので。
その時間でまず発砲できるか。。ここが命です。
当たるかどうかは二の次、撃たなきゃ当たらない。。そんな緊張感なので、狩猟中は常にピリピリしてます。
発見するために、目も酷使しますので。。帰る頃にはショボショボのクタクタです。

今回のヤマドリも、実はメスのほうが先に勘づき。。
ヒョコヒョコと、落ち着かない様子でオスの周りを歩き始めてたんです。
その傍らでカモのように首を丸め、目をつぶって眠り込んでいたオスに、狙いをつけての狙撃でした。

チャンスがあったとはいえ、それも儚いひと時。
オスが起きたら、スタコラと。。その姿は雪の中へ消えていたことでしょう。
慎重に狙いこんだり、のんびりしている暇などありませんでした。

そしてそのために、それなりのリスクを負い。
相当な時間と、相当なコストをかけているのも事実です。
このレポートに触発されて、やってみたいと思われたなら私もうれしいですし。
もし、ヤマドリ猟できる環境に身を置くチャンスができたら。。是非チャレンジしてほしいですし。
このレポートが参考になれば幸いです。

「 獲ったどー! 」って。
心の底から言える、感動の瞬間でした。
役に立ちましたか?: はい
from: pino  2018年04月08日 10時48分
N熊さん
レポートありがとうございます。着弾はどこでしたか?やはりキジと同じでうたれづよいので頭を狙いましたか?
私もキジに撃ちかける時そうそう狙いをすましている時間もないので、エイヤと欲張って体幹を反射的に撃ちますが、ボスッツ!という着弾音がしても走って何度も逃げられてます。やはり首か頭でないとですかね・・・
役に立ちましたか?: はい
from: N熊 (投稿者) 2018年04月08日 14時09分
pinoさま

キジと同様、狙っている時間は作らせてくれません。
たいていの場合、見つけた時には既に、斜面を駆け上っているか、プルプル飛んでいます。
とっても敏感で、基本的に接近を許してくれませぬ。

そしてカムフラ色で、茶色の風景に溶け込んでいますので。
じっとしているところを発見できること自体が、非常に困難かと思います。
山林でシカヤマドリを探し求めたことがない人には。。まず発見不可能かと。

なので、見つけたら即撃ちです。
頭とか体幹とか、贅沢は言うてられません。笑
とにかく矢を放つことが最優先でして。

今回は胸を貫いておりました。
25口径の穴が、痛々しいでしょ。(画像)
役に立ちましたか?: はい
from: マルコ  2018年04月10日 23時16分
 こんばんは。

> 狩猟行為に対する感覚は人それぞれで、価値観のなすりつけあいになるだけというのが、私の経験上の結論です。
> 議論しても平行線でしょうし、理解してもらおうと努力するだけ、時間と労力の無駄なような気がします。

 確かに非常に難しいところですね。私が責任もって教育する範囲、つまり私の子供には狩猟は教えようと思います。

 エドの娘が、パパがとったウサギを持ったり、自分で鳥を撃ってエドに捌くのを教えてもらったりとしているムービーがありました。いかにもロシア系の美人になりそうな娘ですが、目指すはそういう女子とハンティングデートに行って惚れられる日本男児です。笑
役に立ちましたか?: はい
from: マルコ  2018年04月10日 23時30分
> 25口径の穴が、痛々しいでしょ。(画像)
 確かに、30mは相当なダメージですね。100で撃って穴だけ開いている感じと違いますね。

 もう一つN熊さんと話してみたいなぁと思ったのがスコープの倍率です。これも嗜好があるので、どれがいいとかいうより、どれが好みぐらいにしておきましょう。私自身は、いくつかのスコープを使って、たぶん一番好みの倍率は2.5-10ではないかと思っています。これは、50m以下なら3倍より低い方が欲しい、たいてい10倍で射撃としているのですが100m、130mぐらいは苦にならないとういうところからです。N熊さんの好みのレンジはどのあたりですか?マーチの3-24、1-10は素晴らしくオールラウンドすぎるので・・・もう少しレンジを狭めるとしたら。
役に立ちましたか?: はい
from: N熊 (投稿者) 2018年04月11日 12時40分
息子さんをハンターとしての英才教育ですか!
いいですねぇ。。お子さんが楽しんで成長してくれるようになったら、親としてもうれしいですよね。
しかしまー。。ニッチな世界なんで、取り巻く世間事情も理解させながらがタイヘンそうですね。
あとは、オクサマの理解が得られるか。。ここが最難関かもですが。笑


スコープの話ですが。
私も、通常使用の範囲では10倍でも充分な能力だと思います。
キジカモカワウなど、人里近くのトリ相手なら、3~10程度が使いやすいかと。

ただしこだわると。。3~24、1~10は欲しくなりますねぇ。
高倍率は茂みに隠れたカモの索敵とか。。
等倍はシカのトメサシや、ヤマドリ相手など接近戦やスピードを要求される環境で。

マウントリングのチョイスさえ間違わなければ。。
マーチなら付け直ししても狙点がずれないので、状況変化に応じて換装。
願わくばな、装備ですが。。チョイと贅沢すぎますかねぇ?笑

特にマーチの等倍は、「 本当の等倍 」ですし。
10倍はトリまでカバーできますので。。次狙ってます。( ̄▽ ̄)
ブシュネルとか。。他メーカーの等倍は実像より小さくなりますし、レンズ端のゆがみがおおきいので。。
いつになるかはわかりませんが、チャンスがあればで考え中です。
役に立ちましたか?: はい
from: マルコ  2018年04月13日 00時02分
N熊さん、こんばんは。

>キジカモカワウなど、人里近くのトリ相手なら、3~10程度が使いやすいかと。
 ですよね!

> マーチなら付け直ししても狙点がずれないので、状況変化に応じて換装。
> 願わくばな、装備ですが。。チョイと贅沢すぎますかねぇ?笑

EAWのピボットマウント使えば映画に出てくるスナイパーみたいにスコープ
取り付けられそうですが・・・マーチ2本から選んでつけるというのは・・・
どう考えても贅沢ですね。笑

 しかし、マーチのコンパクトさは、相変わらずダントツの世界一ですね。
画像もきれいなんだと思いますが。
役に立ちましたか?: はい
from: N熊 (投稿者) 2018年04月13日 07時23分
画像の美しさは、安いスコープメーカーのものでも、美しいものはたくさんあると思います。
レンズのコーティング技術があって、明るさを保てるレンズの大きさ&倍率に妥協すればですが。
なので、マーチの画像が値段なりにとりわけ美しいわけではありませぬ。

マーチのすごさは、この倍率比の高さにして、高倍率での明るさが別物であること。
そして解像度が高く、見え味の繊細さがいいところにあります。
もともとEDレンズを開発していた光学メーカーのスタッフならではの技術でしょう。

あとは何より、スコープを道具として使う為の機能が、世界最強だと思います。
倍率比の高さもさることながら、合焦距離(ピント)の守備範囲が変態クラスです。
6畳ワンルームの中でテレビ画面が見えるくらい。。パソコンの画面の文字が読めるくらい。。
と言ったらわかりやすいでしょうか。笑
エアライフル向きの性能ですよね。

そして一番は、その優秀なピント機能を使えば。
視差(パララックス)は、ほぼ発生しないので。
弾は狙ったところ、狙った目盛りに正確に飛んでいきます。

先日も友人が162mでカワウを仕留めたと喜んではりました。
組み合わせは、マーチ+ボブキャット30だったらしいですが。
マーチはやっぱり、遠距離射撃に非常に有利な装備だと思います。

語りつくせないですが。
スコープには、カタログ値や覗いてみただけではわからない性能があります。
使ってみないとわからないのですが。。これだけゴマンとあるスコープメーカー&モデルの中からベストを選ぶのは不可能なのがむつかしいところ。
ですが、私の経験範囲の中では、ベストと言いきれますし、自信をもってお勧めできるモデルです。
今後、このレベルを超えるスコープが十数年内に生まれる可能性は考えにくいですし。
おそらく、生涯使えるであろう性能を有していると思います。

デジタル技術をふんだんに盛り込んだ楽しいスコープがどんどん生まれてますよねぇ。
でも、ライフル用で開発されるものがほとんどですし、扱い方も煩雑で。
エアライフルでの実用には程遠いのが現状のような。。
それを思うと、レンズ性能に頼る時代は、まだまだ我々が生きている間には無くならないのでは。。
と予測します。
なので、金額的な壁はあるものの、投資の価値あり!
わたし的にはそう思ってます。
役に立ちましたか?: はい
from: マルコ  2018年04月14日 20時14分
なるほどです。魅力語っていただき、ありがとうございます。

また日本メーカーであることがうれしですよね。他の海外の有名どころも結局日本で
作られているというところはいくつもあるようですが、海外のメーカーの嗜好に合わせて
作ったものでなく、こういうものを作りたいというところから日本人が発想しているので、
他とは一線を画したものが出来上がったのでしょうか。

大変興味を惹かれるスコープであることは間違いないです。
役に立ちましたか?: はい

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