取扱説明書
前書き
取扱説明書の日本語訳です。
こちらは筆者がわかりやすくするために訳したものですので、一部追記もしています。
よって、必ずエアライフル購入時に付属のものを正とするようお願いします。
イントロダクション
マタドール使用前にこのマニュアルをよく読んでください。このマニュアルにはマタドールの一般的なスペックに加え、射撃前の準備と銃を使用する際にお守り頂く事項が記載されています。
銃に関する情報
マタドールは、ロシア政府より承認を受けたエドガン社の技術基準に準拠して製造されております。
また、エドガン社の監督のもとロシア国外での製造が認められています。
技術基準番号:TU 7184-001-75734642-2005
銃の概要
マタドールは、射的、標的射撃およびハンティング用に設計されたエアライフルです。
バレル
バレルは、ドイツの Lother Walther社製で、EDgun 社により作られた仕様書と図面により製造されています。
銃身は、チェコ共和国の JSB Dablo 社の鉛製ペレット用に設計されています。その他のペレットの使用は精度低下を招く可能性があり、エドガン社の保証の範囲ではありません。
エネルギー
マタドールは、販売されている国のエネルギーの制限に準拠していいます。
エドガン社は、クライアントからの通達がない限り、その国の銃に関する規制(エネルギーや口径等)を守る責任を有しておりません。また、クライアントが違法な改造を行った場合も、同様にエドガン社には責任はありません。
使用環境
銃を使用する際は、安全に射撃を行える環境で行ってください。銃の温度範囲は、-10℃から30℃となっております。
テクニカル・データ
スペック一覧をご参照ください。
安全遵守事項
エアライフルは、不適切な使用をすると死傷に至る可能性があります。
射撃の際は、安全のためのルールを全て遵守してください。このマニュアルに記載の ”銃の使用方法” および ”メンテナンス” 項目は、必ず遵守してください。
禁止事項
- 人や、撃ってはいけない/撃つことを意図していない動物、または標的に銃を向けてはいけません。
- 銃にペレットが装填された状態またはエアシリンダに残圧がある状態で、銃を分解してはいけません。
- エアシリンダの上限圧力を超えて、エアを充填してはいけません。
- エアライフル用に設計されていないペレットやもの、プラスチックや鉄等の鉛以外を含むペレットを使用してはいけません。
使用前準備
銃の外表面保護用に塗布されている油を除去してください。エアライフル用のクリーナー、綿の布、潤滑オイル等を使用してください。強力なクリーニング剤や溶剤を使用してはいけません。
銃にエアを充填してください。
銃には、絶対に最大圧(220bar)以上、エアを充填しないでください。
ボルト及びトリガーが正常に作動することを確認してください。
ボルトのハンドルを上に上げ、後方いっぱいまで引いてコッキングしてください。コッキングしているときは、ハンマースプリングの反力を感じるはずです。後方いっぱいまで引いたとき、スプリングの反力はなくなり、ボルトは前に戻ろうとしなくなります。この時点でハンマーのコッキング完了です。
マガジンにペレットを装填し、ブリーチのマガジン挿入溝に入れてください。マガジンについているのこぎり状の歯は、後ろ側になるように挿入してください。マガジンは、スプリングテンションのかけられた2つのボールで固定されます。1つめのボールで回転中心が位置決めされ、2つめのボールで回転角が位置決めされます。マガジン挿入後は、反時計回りに回転させ、マガジンが適切に挿入されていることを確認してください。
筆者注:
- 日本仕様にするためにマガジンが5連発になっています。1発目を装填するためには、白が下図の位置に来るまでマガジンを回転させます。5発目を確認することも、白の位置で確認します。
- ペレットのスカートが完全にマガジンの中に入るよう指で押し込んでください。少しでも出ているとマガジンが回転したときにジャミング起こします。(スカートが変形するとペレットはマガジンを通りませんので、マガジンを取り出して、ペレットを取り出してください。)
ペレットの装填
マガジン挿入
5発目の状態
ボルトを前側に押し、ハンドルを時計回り(下側)に回転させてロックしてください。
これで、射撃準備が完了です。
マタドールにペレットが装填されいないことが分かっていても、ペレットが装填されコッキングされているときと同じように扱ってください。人、または撃つつもりのない動物やモノには絶対に向けないでください。
マタドールの射撃準備
銃にエアを充填するために、プローブを充填ポートに挿入します。
(銃はハンドポンプまたはエアタンクいずれからでも充填できます)
プローブに付属の2つのOリングには、薄くシリコングリスを塗布されていることと、Oリングが傷んでいないことを確認して下さい。
エアをホースに流しはじめると、Oリングは充填ポートをシールします。ホースの圧力がエアシリンダの圧力以上になったとき、エアシリンダの充填バルブが開き、エアシリンダが充填が始まります。
充填中は、エアシリンダの圧力計を注意してモニターしてください。エアシリンダが最大圧(220bar)を超えないように充填をとめ、ホースの圧力を抜いてから、プローブを外してください。
銃にペレットを装填するには、ボルトを後ろまで引き、コッキングしてください。ボルトはそのままのポジションでとまります。マガジンを、のこぎり状の歯が後ろになる状態で、ブリーチの挿入溝に入れてください。ボルトをクローズすると、ペレットはバレルに装填されます。
次の射撃を行うためにコッキングするときは、ボルトを反時計回りに止まるまで回転させてください。ボルトとが完全に回転していない状態でコッキングした場合、マガジンが完全に回転しないことがあります。この状態で装填しようとした場合、ペレットがダメージを受け、マガジンが引っかかる可能性があります。
筆者注:
タンクの圧力がゼロから空気を充填する場合は、ハンマーを引いてコッキングした状態で空気を入れ始めてください。数十bar入ればデコックして大丈夫です。ハンマーが内圧のかかっていないバルブを押しているため、エアがリークして充填ができません。
装填状態のマタドールのデコック
マガジン・レバーを下に下げてください。
ボルトを後ろいっぱいまで引いてください。
ボルトを片手で持った状態で、もう一方の手でトリガーを引いてください。ハンマーに押されて、ボルトが前側に動こうとするのを感じるはずです。ボルトをゆっくりクローズしてください。ペレットはまだ装填されている状態ですが、ハンマーが落ちているため銃は安全化されています。
筆者注:”ボルトは完全に引いた状態” でトリガーを引くことが大切です。ボルトが中途半端に引かれた状態でトリガーを引くと、ハンマーがバルブをたたくために加速し、途中でボルトにぶつかるという状態になります。マタドールではどうなるか分かりませんが(筆者も試したくない)、銃によっては壊れるものもあります。
再び射撃を行うには、ボルトを引いてコッキングし、ボルトをクローズしてください。これで射撃可能です。
マガジン・レバーはオフ状態ですので、射撃を続ける場合は、上に上げてONにしてください。マガジン・レバーをオフにしてからこの動作を行わないと、マガジンが回転して2発目が装填されますので、注意してください。
筆者注:ボルトをクローズしたらすぐに、マガジン・レバーはONにし、それから射撃に入るという癖をつけるのがコツです。そのまま、射撃して2発目を撃つことになった場合・・・ハンティング等では焦っていたりもしますので・・・OFFのままコッキングして空砲を撃つはめになりかねません。
マガジン・レバー ON状態
マガジン・レバー OFF状態
マタドールは、レギュレータの設定圧である120barまで、マガジンを交換することにより、射撃を続けることができます。
銃の分解
銃の分解前に、必ずペレットが装填されていないことを確認してください。
コッキングしてマガジンを取り外し、ペレットがバレル内にないことを確認してください。
銃を分解するには、メートル系の六角レンチが必要です。
銃本体は、トリガー・ガード・ボルトでストックに固定されています。このボルトを外して、ストックを銃から外してください。
バレルのクリーニングを行うには
- 銃をコッキングします。
- マガジンを外します。
- ペレット・トラップ等を使って、バレル内部にペレットがないことを確認します。※1
- コッキングします。
- ブリーチ後方の2本のボルトを、六角レンチ(2.5mm)を使い外します。
- ブリーチ前方の2本のボルトを、六角レンチ(2.5mm)で1回転分緩めます。
- ブリーチを左右に少しずつずらしながら、後ろに引き、銃から取り外します。
- ハンマーが見えますので、上から指で押さえてトリガーを引きます。ハンマーをゆっくり前に戻します。
- モデレーター・チューブを外します。
- これでバレルにアクセスすることができます。
バレルは必ずブリーチ側からクリーニングしてください。
ボア・スネークか、クリーニング・ロッドを使用してください。ただし、スチールブラシ等を使用し、バレルを傷つけないでください。バレルには、真鍮ブラシか綿パッチのみを使用してください。
クラウンは、特に傷つけないよう気をつけてクリーニングしてください。
銃用のオイルや洗浄剤をご使用頂けます。
洗浄後は、弾道が安定して本来の精度に達するまで、30-50発の射撃が必要です。
組立は、分解手順の逆で行ってください。ブリーチを銃に取り付ける前に、ハンマーを指でコッキングしてください。
筆者注 ※1:日本では、射撃場等で行っておきましょう。
トリガーの調整
トリガーは、オーナーの好きな引き心地に調整することが出来ます。工場出荷時は、中間位置に調整されています。
トリガーの後ろ側の小さいイモねじが調整ねじです。時計回りに回転させるとトリガーの引きしろは短くなり、トリガーは軽くなります。トリガーは軽くしすぎないでください。トリガーを軽くしすぎると、衝撃で暴発する可能性があります。気をつけてください。
反時計回りに回すと、トリガーの引きしろは長くなり、重くなります。
メンテナンス
このマニュアルのガイダンスに沿って使用されれば、マタドールのオーナーはトラブルの起こらない銃として長い間愛用頂くことができます。銃は、無用に分解しないでください。
マタドールは、しっかりした信頼出来る作りの銃のため、メンテナンスはシンプルです。
- 定期的に、銃身を専用ツールでクリーニングしてください。
- O-リングは、シリコングリスを微量塗布してください。
- 空気充填孔にゴミが入らないようにしてください。
- 銃の使用後は、銃用の中性湯で金属部分をクリーニングし、乾燥した布で拭き取ってください。木部(ストック)にはオイルをつけないでください。
- 定期的に、ボルトが緩んでいないことを確認してください。
- 銃には空気を充填した状態で保管してください。銃を定期的に使用しない場合は、レギュレータが問題を起こさないよう、毎週数発撃ってください。
工場出荷時の試験について
マタドールは下記の技術指示文書に従って製造され、正しく機能することと、射撃精度が出ることを確認して出荷されています。
技術指示文書番号:71 8240-75734642-2005