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レシーの開発

 エドがロシアのフォーラムで書いたレシーの開発経緯について、AIRGUN NZ の WINGMAN 氏が英語に訳してくれました。大変感謝です。しかしながら、GOOGLE翻訳がベースになっていることや、私自身がレシー本体を見たことがないことによりいくつか分からないところもあり、何カ所かは省略しています。また、分かりにくいなと思われるところは意訳しています。

 マタドールの開発経緯と同じく、かなり読み応えがあるものでした。そのうち、エドと話してみたいです。ご興味のある方は、是非一読ください。


イゴールとの設計

 新たなエアライフルであるレシーは、今日現在、設計段階から製作完了までの期間という点でエドガン社の新記録を打ち立てています。

 私は、新年が始まってすぐの2016年1月2日の朝、設計図面を短期間で書き上げるために、製造技術者のイゴールのいるKalugaに行きました。そして、彼と会ってから4日で、手書きのイメージ図から、このエアライフルの基本図面は書き上げられたのです。

 新たな製品を設計するのとき、デザイナーと製造技術者が膝をつき合わせて一緒に進めるのが、最も理想的だと考えています。多くの調整や、文書などでのやりとりが不要になり、最も短期間で最大の成果を得ることが可能になります。このとき、我々にはすでに同じ手法で開発した Lelya2.0 や Matador R4 の実戦経験がありました。それに、イゴールと私は、話さなくてもお互いを完全に理解しあえる仲です。短期間で最大の成果が得られたことは疑う余地はありません。

 4日間、集中的に、そして精力的に設計を進めました。一通りの設計が終わった後、私たちは疲れはてていましたが、スクリーンに映し出されたレシーを見て、ため息をついて、ただ一言いいました。素晴らしい!

 次の瞬間、自然と名前が頭の中に飛び出してきました。”レシー”(森の邪悪な妖精、ゴブリン)です。

 サバイバリストのもつエアライフル、つまりはいかなる過酷な環境でも生き延びる者が手にするエアライフル。

 イメージでいうと、そこには森があり、エアライフル自身には全く飾り気がなく、今まで見えることのなかった存在のようなイメージ。そのイメージがレシーにぴったりだったのです。他の名前は、もうあり得ませんでした。

 設計が終わって、私はある種の達成感に浸りながら帰途につきました。しかしながら、帰りの車でもレシーは頭から離れることなく、運転中にいくつかの小さな改良を思い浮かびました。家についてすぐに、またすぐにイゴールとスカイプをして、一通りの設計が完成して、イゴールは図面の仕上げを行ったのです。


レシーの試作品の製造

 設計の開始から2週間たった1月の下旬には、すでにレシーの製造が開始されていました。すばらしい機械加工の技術を持つ人達によって、パーツはいったん図面になることを飛び越えて、私も製造図面や計画書類にを私が見ることもなく、直接3次元のモデルからどんどん作られていきました。

 試作品の製造では、ドイツで開催されるIWAに間に合わせるために2月中旬までには必ずサンプルを作ること目標にしましたが、彼らは期待を裏切りませんでした。サンプルは2月の中旬に完成したのです。

 イゴールは、試作品をとにかく早く組み立てようと、陽極処理されたパーツの入ったボックスを朝に受け取り、脇に抱えて飛行機に飛び乗り、夕方には私のところに来てくれました。

 翌日の朝、我々は組立始めました。どの試作品にもあるように、ライフルの主要な設計に関わらないところで量産モデルとは異なったところがありましたが、バネやOリング等の機能させるのに必要なものはそろっており、試作品は本来のレシーの性能を発揮するするものでした。

 そして夕方の6時には、この短いビデオが撮られたのです。この1ヶ月間、今日の日に向かって一緒に働いた人達を喜ばせるために。

https://youtu.be/DILeeIwElJs


レシーのコンセプト

 レシーは、全く新しいコンセプトのエアライフルです。元々のアイデアは、サバイバリストのもつエアライフル、つまりあらゆる過酷な環境でも生き残れるものが手にするに相応しいものにすることです。つまりそのエアライフルは、最小限のパーツで構成されていて、暑かろうと寒かろうとどんな温度環境や泥や埃をも恐れることなく、常にいつでもどこでも撃てる状態ある、そんなエアライフルです。

 そのため、ボルトアクションはなしにしよう、ペレットを押し込むプローブもなしにしよう、プレナムもなくそうと考えていたのです。また、高圧の空気がバルブから直接ペレットのスカートに流れるのが理想的と考えたのです。そしてエアの効率を上げるためには、バルブからの空気の流路を曲がりをなくすことが必要で、バルブを180度回転させないといけなかったのです。

 そしてこの場合には、やはりタンクをライフルの後ろ側に配置することが理想的だろうと考えました。そこまでは良かったのですが、それだけではサバイバリストの持つエアライフルにふさわしいぐらい、軽量で、コンパクトでありながらパワフルですぐに撃てる、そういうものにはなかったのです。

 そこで考えたのは、シリンダー部を折りたたみにしたらどうだろう?とういことです。

 これが、まさにビンゴ!だったのです。

 基本のコンセプトがかたまったところで、次は詳細設計を進めました。これは、基本となる1本の糸を決めた後に、その糸にどんどんビーズを通していくようなものです。

バレル・マウント

 バレル・マウントは、もともとは Matador R4 や Lelya 2.0 のような、ブリーチとモデレータで引っ張られたテンションバレル形式にしたいと思いました。これについては熟考した結果、折りたたみのヒンジの部分が大きくなり、ライフルを大幅にコンパクトにすること不可能であることが分かりました。

 また初めのマタドールでは、2カ所でクランプしていたことを思いだしたのですが、これにはバレルのクランプしているところに圧力がかかり、バレルの途中2カ所にチョークができるという問題があり、採用はしませんでした。

 いろいろ考えて思いついたのが、バレルのマズル側の1カ所をクランプ固定にするということです。チョークなしバレルを使い、マズル側を固定して、確実に固定するとともに、"軽く"チョークをかけます。これにより弾着の精度を上げるとともに、チョークが軽いことで重めのペレットも発射できる余地をのこそうということです。(もちろん、銃自身のエアの効率を上げるために、格闘したことは言うまでもありません。)

 このバレルの固定形式により、全てが求める大きさに収まるようになりました。さらに、バレルにはブリーチ側にも、バレルの内部の精度に影響を与えかねないネジは切らないことにしました。このようなブリーチもネジもない構造により、ライフルの他のパーツを変えることなく、4.5mmから6.35mmまでのバレルを簡単に交換することができるようになったのです。バレルのアライメントは、マズル側のクランプと、ブリーチ側のブッシュでアライメントしています。

 バレルについては、どの長さを使うか、結構苦戦しました。プロトタイプは200mmでしたが、長さが足りませんでした。ライフルを折りたたんで350mm以下にしたかったのですが、まだマタドールで効果が実証されているエキセントリック・モデレータを使えば、バレルを250mmまで延長することができました。これにより、エアの効率をよくするとともに、発射音も比較的快適なレベルになったのです。


レシーの性能

 バレルは250mmしかないため、射場でものすごい結果が得られるという期待はできません。現実的な評価が必要です。

 実際、レシーは、エアピストルの Veles をとても変わった配置にして、もっと運びやすく、もっと撃ちやすくしたエアライフルと言った表現が、一番しっくりきます。つまり、Veles をカービンライフルにしてもう少し遠くを撃とうとした方もいるでしょう。そういう方が、レシーの本当の価値を享受することができるのです。

 また、バレルの固定方法を、単純な嵌め合いとクランプにしたことで、早く、簡単にバレルを交換できるような設計ができました。また、バレルも350mmまでのものを使用することが可能で、最大で25口径のバレルまで使用できるよになりました。ちなみに、これは3回目のバレルの交換です。このときは、本当に3回目だったので少しもたついている感がありますが、今はもっと早く交換できますよ!

https://youtu.be/Br-5UXTDM_E

 

安全装置について

 多くの国では、銃にはセイフティ・キャッチ(逆鉤が落ちるのを防ぐもの)が必要とされています。トリガーが引かれるのを防止するタイプの安全装置もありますが、我々もセイフティ・キャッチをつけることにしました。セイフティ・キャッチをつけるなら、すでに発射することができな安全状態になっている訳ですから、トリガーが引かれるのを防ぐ安全装置は必要は無いでしょう。(セイフティ・キャッチはは逆鉤が落ちるのを防ぐもの)

 このセイフティ・キャッチは手動でセーフ状態に切り替えることもできますが、ストック/タンクをエアライフルの後ろ側に取り付けたとき、自動的にセーフ状態になります。セーフ状態でのみ、エアライフルはコッキングすることができます。セイフティは、短いストロークで、作動は明確で分かりやすく、人差し指の先で届くところにあり、とても使いやすいものになっています。

トリガー

 残念ながら、コンパクトにまとめることを最優先したため、よく使われているトリガー形式ではなく、スライディング・ハンマー形式を採用しました。

 トリガーはとても簡単な構造のものにしたため、プルの長さや強さを調整することはできません。しかしながら、射撃精度を向上させるために、逆鉤が外れた後のストッパーネジを追加する必要性があることが分かりました。そこで、この代わりにバネ付きのネジを加えたのですが、トリガーが落ちる前のステージのような感じにできました。トリガー、軽く、短いストローク(3mm)で、落ちるところが完全に予期できるようなトリガーになったのです。これには結構満足しています。

ハンマー

 問題は、ハンマーを加速させるメイン・スプリングを押しているロッキング・ナットでした。これもまたコンパクトにするという制約から、通常使われるロックナットが使用できません。私の感覚では、今回採用した新しい手法に、オーナーも満足してくれることでしょう。

 ロックナットには、バネ押しされたボールを使いました。セットするときにカチカチというクリック音を使え、とても心地よく、セクシーな音がします(セクシーなことはとても大切なことです)。バネ調整は、いつでもアクセスが可能です。ちょっと変わったところは、バネに圧力をかけるときに、ネジを反時計と時計方向に回さないといけないことです。(反時計回りで、時計回りというのは・・・分かりません・・・)

バット・パッド

 バットパッドは、横方向に、強力なグリップ力を生むギザギザの歯をつけることにしました。この歯は、どんな服装にもしっくりきます。

ストック

 ストックは、もし長さが必要な場合は、取り付けのネジをゆるめて、バットを後ろに下げて締めることで、長くすることが可能です。

圧力ゲージ

 エアライフルは充填孔がついていますが、圧力ゲージはついていません。タンクはとても小さく、54ccの容量しかないので、圧力ゲージを取り付けによって失われる容量さえ、無視できませんでした。

 このタンクは300気圧まで使用可能で、通常使われる300気圧タンクからそのままの圧力で充填することができます。圧力ゲージは取り付けませんでしたが、レギュレータ残すことにしました。新しい、改良されたレギュレータで、より少ないパーツですが、よりパワフルになっています。

1回の充填で発射可能な弾数

 もちろん、タンクの容量が非常に小さいので、1回の充填でものすごい数を撃つことはできません。当初の設計思想は、自然の中でパンパンと撃ちまくることではなく、”本当に必要なときに、数発撃つことができる”ということです。

 結論から話しますと、25口径では250気圧から18発うつことができます。22口径と177口径はもう少し増えます。

 当初このエアライフルは、通常のエアライフルより少し多めの9.7cc/Jのエアを消費するように調整おり、バレルが非常に短いことを考えると、まあいいエア効率と考えていました。しかしながらその後のいろいろな検討で、簡単な構造の改良をして、25口径を250気圧から18発撃てるようになったのです。このときのエア消費量は、7.5cm3/Jにまで上がっており、かなりいいと言うことができるでしょう。

 私は、レシーを製造して試験を開始した直後ではありますが、疑問の余地なく、設計はうまくいったと考えています。私は26の改善点を思いつきましたが、これを取り込むことで、レシーはさらに完成度の高いエアライフルになるでしょう。


スコープ

 当初の思想は、オープンサイトを取り付けることでしたが、通常の方法で取り付けることができませんでした。そこで、低倍率スコープを取り付けることにしたのですが、通常の40mm対物レンズ径のスコープを取り付けるのは論外でした。レシーは全長が短く、エキセントリックモデレータが近くにあるため、ミドルまたはローリングではスコープが取り付けられなかったのです。

 そこで、初期ロットで500丁作ろうとしているや、バランスのとれたエアライフルとスコープの組み合わせで購入してからすぐに射撃ができるようにと考え、5×20の固定倍率スコープ(MILの数字が振られていないEDgun 2.0のレチクルで、バックライト付き)の専用スコープを作ることにしました。スコープは全長200mmで、レチクルはMILで、タレットも1/10MILです。

ケース

 パッケージには、強くて、耐水のプラスチックケースをつけることにしました。これは、私のコンセプトに完全にマッチするもので、とてもいいものですよ。

まとめ

 総じて、このエアライフルは単なる成功ではなく、私の感覚では、マタドールやレルヤがそうであったのと同じように、新たなエアライフル開発の先駆者のポジションに君臨していると考えています。

 製造プロセスや試験を見た人達がいう言葉は決まって、ただ一つ。

 欲しい、欲しい、欲しくてたまらない・・・

 SOURCE:NZ AIRGUN.COM, I appreciate to the effort of translation.

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